2012年01月22日

失って分かる、そのものの価値

東名・名神を走る高速バス「昼特急」に乗って東京まで往復し、7時間も車内で瞑想にふけっていると・・・
サラリーマンライフをリタイヤすると自動的に失うものがいくつかあったことが思い出されてきました。

実質的にサラリーマンライフから遠ざかって丸二年経ってみると、かつては大事だったもののリタイヤ後の大切さが改めて分かります。
最初はそれが去って行くことに焦ってしまいますが、やがて慣れてしまっているのだなぁ・・・と。

1.肩書き 大切さ度 二年前は★★★→今は★
本当は退職二年後は星印ゼロになっているかと思いましたが、ゼロにはなっていません。
「○※商店店主」などという自営業の看板のような肩書きはまだ欲しています。
「男子 53歳」という肩書きでもいいではないか、とも思っていますが、まだその境地には至りません。

しかし一昨年までは、できたらどこかの“団体に所属している肩書き”を欲していましたが、さすがにそれは無くなりました。
退職する前までは「○※マネージャー」という肩書きが楽しくて、実質は専門職の担当者だったのに、外資系はこういう仕事にもマネージャーの称号が与えられるんだ!と嬉しくなっていました。
肩書きはまさにビジネスマンのステイタスシンボル。
今となっては、当時はお金のためとは言え、よく“あのような面倒な仕事”に毎日奔走できたなぁ、と自分の事ながら感心します。二年の間に、かなり心境が変化してしまいました。

2.収入 大切さ度 二年前は★★★★★→今は★
かつては“莫大な収入”までは望みませんでしたが、“高収入”と言われる領域には拘りました。
それは早くリタイヤ資金をつくる目的と、やはり高収入ゾーンが自己満足できるステイタスだったからです。
リタイヤしたら無収入になることは織り込み済みでしたから、退職して無収入になること自体は私の場合は受け入れ可能でしたが、収入ゼロでこの先も行く、というのはまだ受け入れダメです。

収入ゼロでも生活資金はOKを確認してあっても、活動する意欲のために収入は、私の場合はどうしても必要です。多分この“収入”はお金でなくてもモノでも、何かの権利でもいいかもしれません。何かをした結果、何かが手に入らないような活動はできないことを実感しました。

昨年は基礎控除だけで所得ゼロになる程度の収入がありましたが、毎年少しでもこの収入は成長させるように自分一人で工夫したいと思います。

3.職場 大切さ度 二年前は★★★★★→今はゼロ
退職後に一番調子狂ったのが、“職場の喪失”でした。
ここで言う職場とは、私はデスクワークの仕事をしていたので、広い部屋に同僚達の机が並んだオフィスのことです。
そこで一心に業務に取り組んでいる同僚の雰囲気を感じて、自分も仕事にやる気が出て・・・
不思議なことに、誰も居ないオフィスでも自動的に机に向かうとやる気が出たりしたのですが・・・
退職してしまうと、それを一気に失うことになるわけです。

毎日マイペースで。だけど家族がノンビリと「お父さん、何してるの・・・」なんて部屋に入ってくる環境で仕事の能率が捗るハズがありません・・・と最初は強く感じていました。
それでも次第に慣れるんですね。
今では自分の狭い部屋で、自分の机に向かうと、自動的にブログを書く脳内スイッチが入るようになりました。

4.人間関係 大切さ度 二年前は★★★→今は★★
以前から人間関係には好き嫌いが極端で、社内で嫌いな人とはたとえ席が隣でも話しをしない私でしたから、退職してそれまでの知人と疎遠になっても大丈夫だろう、と思っていましたが・・・
辞めてみると、一時期昔が懐かしくなりました。
やっぱり人に囲まれている方がいい、と考えるようになり、
孤独に居るとオカシくなるのではないか、と不安になり、ボランティア活動などに首を突っ込むようになりましたが、これは幻覚でした。

これは私と同じような人に限っては、ということだと思いますが、あまり人に会わなくても生きて行ける、ということです。
おそらく私は「ネットがお友達」現象の一種だと思うのですが、私の場合はネットで「双方向コミュニケーション」をいっぱいやっているわけでもなく、ただ“一人遊び”が気に入っているからなのでしょう。

こんな“一人遊び大好き”な性格ですが、誰にも会わない方が楽しいわけではありません。やっぱり人と接すると“思わぬ幸運”が舞い降りることがあります。
だから時々は人に会うのですが、以前は固定した友人や同僚とだけ付き合う世界だったですが、最近は一回ポッキリしか会わないような人が増えています。



そういうわけで、サラリーマン生活を引退すると、いろんなものを失ってしまう辛さがあるのは事実ですが、辞めてから二年くらいすると慣れてしまって、失ったものの大切さはかなり下がってしまうことになるようです。
だから“リタイヤを決めた人”なら、この現象を使って次の生活に軟着陸していくのが現実的で、歓迎できる方法ではないかと思います。

反対に、まだ勤めなければならない人は、退職して二年も経ってしまうと、同様な“失うものへの慣れ”現象が発生してしまうので、もう再就職する気にもなれなくなる、という良くない心境に陥ってしまう危険があると思います。


関連記事→http://oniwasblog.seesaa.net/article/255890215.html



posted by 大庭夏男 at 15:19| Comment(6) | TrackBack(0) | リタイア後の心境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>失って分かる、そのものの価値
 失っても取り返すことができるものと、再び手にれるものは不可能なものがあります。若さや、未来への輝ける希望などはもう取り返すことはできません。でもこれは誰でも同じなので諦めもつきます。問題は、取り返せる可能性はあっても自分には無理なアイテムです。確固たる信念を持っている人は泰然自若としているのでしょうが凡人はそうはいかない。
 失われていく残り時間を大切にしようと早期リタイアに踏み込むと、就業に伴う様々なものを失う。これが自由業の人なら再び仕事に就くことは可能ですが、50代のサラリーマンにはかなり困難です。そうなると自己防衛のために「仕事=酸っぱいぶどう」化する人も出てきます。これは金銭には変えられないです。
 退職して最も失うのは「こんな仕事!いつでも辞めてやる!」というサラリーマン奥の手かもしれません。
Posted by 川ちゃん at 2012年01月24日 05:25
川ちゃん さん、
こんにちは。

>早期リタイアに踏み込むと、就業に伴う様々なものを失う・・・
これは本当だと私も同感です。
確かに会社を辞めてから1年間くらいは、また会社勤めになっても許容できる気持ちが有ったように思いますが、今はホントに会社勤めは酸っぱいぶどう化している感じです。私にまた会社勤務など有り得ない気分でいっぱいです。

だから今後何かの天変地異が起こって、私がどうしても勤務せざるを得ない事態になった時はきっと大変でしょう。
起こらないかもしれないけど、確かにこれは退職して失った結果のリスクです!

記憶しておくべきリスクですね。
Posted by 大庭夏男 at 2012年01月24日 16:27
私も会社を退職し、海外に渡ってきて思うのですが、職場ってそのヒトがいた形跡ってあっという間になくなる。一時的に仕事に支障があっても、代替不可能なものは何もないです。会社勤めにしがみつこうとするのは、それを証明したくないからかもしれない。

40歳、近くなると大体、見えてくる。大体、会社、地位、収入を誇るヒトは大体コモノが多いし、大したことない。若いときはそういうのに拘れるから、仕事に熱意があるのですよね。

私も心理的には引退気分ですが、できるだけ長く会社ごっこを続けたいと思っています。会社ごっこしないと、代替可能なねじとしての価値まで消えてしまいそうで。
Posted by aa at 2012年01月30日 00:47
aaさん、

>一時的に仕事に支障があっても、代替不可能なものは何もない・・・
私もまったく同感です。今振り返ると、私は2つの会社に勤めましたが、会社から見ると私は“便利なひと”だたっとおもいますし、私もそれで給料をいただければよいと思って働いていました。
だから二社めの外資会社からは「キミはもうお役目済んだから退職してくれない?」とスッキリ割り切り退職の提案を受け、私もひとつ返事で「OK」と言えました。
それからは、私の退職が“決まった”ことで、同僚が文句も言わずに私の業務を手分けして分担開始してくれましたので、まさに代替って簡単だなぁ、と思いました。

>代替可能なねじとしての価値まで消えて・・・
意味深長ですね。この意味することは私にはピタリとは分からなくて、でもなんとなく想像はできます。私にはもはや会社員がもう一度できるとは思えなくなりましたから・・・
でも「引退気分ですが、できるだけ長く会社ごっこ」は私もかつてやりたかった“引退”のひとつのカテゴリーで、そういう意味で羨ましいです。
Posted by 大庭夏男 at 2012年01月30日 13:48
拝見して心に響く素晴らしい内容と思いました。私は韓国のSamsung Life Insuranceのリタイア研究所に勤めております。宜しければこの内容を当研究所で発行するRitirement Journalと言う月刊誌に乗せたいと思いますがご意向は如何でしょうか。雑誌は非営利目的で弊社のお客様向けで3万部程度発行しております。日本と韓国はいろんな面で非常に似ており,日本の事例が韓国のリタイア文化の発展に多く役に立つと思います。またこれをきっかけでいろいろ交流できればと思いますが。
Posted by 韓国ソウルの李 at 2012年02月10日 18:53
李さん、

2/12メールで回答いたしました。
よろしくお願いします。
Posted by 大庭夏男 at 2012年02月12日 15:17
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