2017年08月14日

自己都合退職でのアーリーリタイアは、やらない方がいい

「大庭さんがアーリーリタイアしたの聞いて、俺もしてみようかなぁ・・・」
そんな呟きを聞いた私が咄嗟に出した回答は「それはやめた方がいい」。

私は今までに自己都合退職とリストラ退職を一回づつ経験しました。46歳でまず自己都合退職したとき、ふと「このままずっと会社生活に戻りたくないな・・・」とアーリーリタイアが頭を過りましたが、当時は経済的にまだ余裕が無かったため、その考えを押し殺し、転職してもう一回会社勤めを再開させました。だから46歳で自己都合退職したときにアーリーリタイアに踏み込まなかったのは、お金がまだ足りなかったからだと、とずっとそう思ってきましたが、実はそうではありませんでした。

こう気づいたのは心境の変化ではなくて、自己都合退職ではセイフティーネット(生活の安全装置)がほとんど無いからです。違う言い方をするなら会社都合退職であればけっこう“使える制度がそろっている”からストレス少なくしてリタイアに歩み易い、と言えます。

たとえばリストラなど会社都合退職では、失業給付金がハローワークでの手続き後すぐに受け取れますが自己都合退職では3か月待たされます。ふつう退職後ただちに国民健康保険に加入すると年間80万円とかの高額保険料を徴収されますが、これも会社都合退職では申請により減額可能です。だから退職後の生活の不安がこれらによってだいぶ緩和され、安心感があるから生活は安定し易いです。が、自己都合退職では特に失業給付金を受け取るまでの3か月間の空白は耐えがたいです。

妻や子からは「はやく再就職して欲しい」と毎日気を揉まれるだろうし、年老いた親も的外れの勤め話を持ってくるかもしれません。そういう雰囲気の中で再就職せずにリタイアを決め込むには病気か何か、皆を納得させる特別な理由が無い限りきっと耐えられないでしょう。

私は「俺もアーリーリタイアしてみようかなぁ・・・」と言った上述の知人に、そんなような話をやんわりして「奥さんがきっと辛い思いするから・・・」と諭しましたが、当の奥さんも、もしそうならそれでもいいか、みたいなところが見えます。そのご家庭はかなりお金持ちに見えますから、もしかしたら経済的には辞めてもぜんぜんへっちゃらなのかもしれません。そういうお金持ちの引退については私の意見も限界があって及びません。

その夫婦はたまたま思い浮かんだことを言ってみただけなのかもしれませんが、そう言われたことを機に考えると、上述のように自己都合退職経由アーリーリタイアは悪いこと言わないから「やめときなハレ」。と考えるが今の私にはしっくりします。

アーリーリタイアを考えたい自己都合退職者には、その代わりに転職がお薦めです。

「なんだ転職かよ・・・」と思うかも知れません。今まで転職した経験の無い人々は「きっとどこの会社に転職しても同じだろう」と考えがちだと思いますが“転職先を選べば”今まで以上に働きやすい会社に転職できる可能性があります。

私はかつて25年勤めた純国産の製造業企業からドイツ系IT企業に転職し、そこでリストラ退職しました。転職した理由は、25年勤めた立派?な会社でしたけど、私自身はそこに以降も勤め続けるのがとても嫌になってしまい後先考えずに飛び出してしまいましたが、知人から紹介された件のIT会社に面接に行ったとき、この会社だったら今までと違うかも!とふつうじゃない雰囲気を感じたことでした。それでその会社へ飛び込みました。

確かにふつうじゃなかったです。
それまでの純国産会社では、たとえば朝出社したらいつもの同僚が席にいて「おはようございます」式のいつもの朝から一日が始まりました。これが私の知っているふつうの会社の雰囲気でした。新しいIT企業は「会社じゃなくて電車だな!」と感じました。同じように朝にオフィスのドアを開るところまでは同じですが、その後は空いている席を見つけて「ここいいですか」と横の人にことわり、挨拶もなく席に座りパソコンを広げ上司やそのまた上司が次々に送ってくるニュースみたいなメッセージを読むことから一日が始まります。横の誰だか何の仕事を担当している人なんだか分からない人にも話しかけられません。なぜなら彼らは耳にイアフォンを入れ、音楽聞きながらプレゼン資料作成に夢中になっているからです。まさにこれは電車の中の雰囲気そっくりです。

仕事のやり方も全然違いました。
「あなたの仕事の範囲はここからここまで」というのがすごくハッキリしていて、仲間同士で無条件に助け合うことはふつうはありませんでした。でも助けが必要になることがあるから、そういう場合はヘルプが欲しい人がその上司に言い、上司が別の誰かに「あなたこの仕事のこの部分をやる?」と調整にあたってくれます。その結果、成績評価のとき「俺は彼の仕事を何時間やって成果物を作ったのだから、その分の成績給を上げてくれ」と要求でき、その要求は上司に無視されないという仕組みができていました。最初は慣れなかったけど、慣れたらこれらの社内の雰囲気と仕事の仕組みは私にとってすごく居心地のいいものでした。

これは私の場合ですから他の方々はそれぞれ別の自分に合った働き方をどこかの会社で見つけられるのではないか?と私は思います。家庭的社風がいいとか、指示命令がシッカリしている方が働きやすいとか。いろいろ人によって違うでしょう。

もし自己都合退職する人が、その後の生活資金に余裕が無い場合は、四の五の言わないで給料の良い会社へなるべく早く飛び込むしかないと思いますが、そうでなくて、ある程度貯えは有る場合は、上述したように“自分に合う社風”をテーマにして次に勤める会社を選ぶ方がヘタにアーリーリタイアを決め込むより、かなり無難です。

このような社風重視の転職をする場合には、
自分の専門や経験、あるいは得意な仕事などを第一に考えるより「嫌ではない仕事をやっている居心地のいい会社」を念頭に探し回った方が良いと思います。給料もさほどパッとしないこともあるかもしれないけどアーリーリタイアが頭を過るとしたら、足りないけどある程度の貯えができたということでしょうから、給料よりも「居心地がいいこと」の方がベターだろうと思います。

しかし居心地が良いかどうかは実際には勤めてみて初めて分かることだし、何がどうだと居心地が良いと感じるか、についても自分でまったく意識しなかったことで居心地が左右されることもあります。だから何社か面接に行き「事務所の中を見学させてもらえませんか」と尋ね「OK」となった会社の中から一つに絞って就職してみることでしょう。めでたく合ったら結構なことですが、1年か2年経って「やっぱりどうもここも合わない」と思ったらまた転職することになってしまうかも知れません。そんなことをやっているとだんだん「ふつうの人」のふつうの仕事とは離れて行ってしまうこともあるでしょう。しかしアーリーリタイアしょうかな?ぐらいの気持とそれなりの貯えが既にあるなら、会社勤めする最後の時期は、ふつうではない働き方の時期もが有っても悪くないんではないですか?と私は言いたいです。

私が最後に勤めた上述IT企業も日本ではふつうの社風ではありませんでした。商習慣も日本に合わなかったようでクライアントを満足させられず、それが肌に合わなくて辞めた同僚も少なくないですが、なぜか理由ははっきり書けないですけど私には合いました。これならもうちょっと勤めてもいいなぁ、と思っていた矢先、突然にリストラが断行され、私を含めて社員の4分の1ぐらいがアッちゅう間に去ることになりましたから、大企業ではない変わった小企業は割と簡単に吹けば飛んでしまいます。

でもリストラになったので、私はこんどは自己都合退職じゃなくて会社都合退職になりました。お次はNPO法人に勤めようと考えて、一時期無給でそこで仕事しましたが、そのNPOでは給料無くても仕事キツ過ぎ!と舌を巻き、職員登用の話も出ない短期間で、そこを辞めて今のセミリタイア8年目です。

繰り返しになりますが、もし貯えがあってそれなりの余裕が生活にあるのなら、自己都合退職でリタイアに直行!ではなくて、遠回りしてみたらどうでしょうか。

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posted by 大庭夏男 at 11:58| Comment(8) | リタイア後の心境 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>自己都合退職でのアーリーリタイアは、やらない方がいい

 同感です。
 親、親戚、家族、特に奥さんの理解がなければだめです。
奥さんが納得するのは退職後の「人並み以上の生活」です。最低これを担保できなければやめておいた方が良い。

 奥さんが期待する、「人並み以上の生活」って、決して平均でも、もちろん中央値でもありません。私の経験では上位20%に入っていれば何も言われることはないと思います。
この壁が厚いのです。

 28年の家計生活調査によれば60歳以上の上位20%の金融資産は6000万円以上です、もちろん相続分も入っていますが、不動産等の現物資産を入れれば1億円以上になるでしょう。
これだけを確保できれば、奥さんも納得ですね。

 ただし、これは全国平均ですから、都内、大卒(当時は20%程度しか進学していません)を考慮すると、金融資産8,000万円がそのラインになるかもしれません。

 これを満足して「どうだ!」と言えれば、奥さんも「わかりました。」となるでしょうが、ね。
Posted by 川ちゃん at 2017年08月15日 20:53
川ちゃんさん

「60歳にして都市部以外は6千万円金融資産」というマジックナンバーを達成するとして超ザックリ計算してみると夫婦合わせた世帯平均収入が1千万円のDINKSなら射程距離に入るのではないかと思いました。
ゆとりある老後に月36万円要る!とかいう通説が、夫婦二人生活だけなら年齢によって変わらないと仮定し、家の購入に3千万円、車が生涯で1千万円、その他に1千万円かかるとして、更に6千万円の貯蓄を60歳まで達成させるとしたら、子供がいなくて共働きのDINKSならできそうです。

平均年収1千万円は一人で稼ぐにはエリートか会社経営など胴元で商売しないと出来ないですが、夫婦2人の共稼ぎなら一般社員でも何とかなりそうです。しかしこどもがいたら6千万貯蓄は無理しょうね。遺産相続あれば別ですが。

もしかして・・・
孫にいっぱい買い物してあげる裕福そうなシニアがいっぱいいる一方で「こんな年金じゃ暮らして行けない!」と死ぬまで勤めようとするシニアも多いのは、6千万円に貯えが届かないからではないでしょうかねぇ。
Posted by 大庭夏男 at 2017年08月16日 10:05
結婚以来7割近くの時を単身生活で謳歌していた私も、矛を収めて2年前から老夫婦の生活となりました。

子供を二人追い出し、孫も二人で世間並みの生活は送れていると思っていましたが、妻の世間並は「世間」が違うのです。

全世帯で金融資産1億円超えと、生活保護世帯は約2%で同じくらいで5,000万円世帯は10%位です。私はその2%に入っていると思っていました(生活保護の方ではありません)が、それはあくまで対象が全世帯です。

60歳以上、都内、大卒でそのレベルはぐっと上がりますが、妻の平均は更に女子大の同級生が対象です。

我々の年代だと、親がなくなり、相続が始まっていますが、妻の仲の良いふたりの友達の場合、最近の相続税が2億円と4億円です、相続総額ではなく税がです。

お嬢様大学で、親の多くが開業医、弁護士で、親戚(義理兄弟を含め)の9割が開業医の妻のケースは少々特殊ですが、私の周り(大学同窓、兄弟、従兄弟)では、金融資産1億、総資産2億円が平均だと思います。これは、会社の同期も同じくらいです。

しかし、リタイアすれば、妻のレベルに合わせなければなりません。その数倍のギャップを埋めるため、体力と気力で、日々涙ぐましい努力を続けています。そんな日々、ほんの少し前の単身赴任時代が懐かしく思い出されます。キャバ嬢たちとのバラと酒の日々が。

大庭夏男様もぜひ奥様の「平均」レベルを認識されたら良いと思います、意外と男は思い込みが激しいから。自分の「平均」レベルとギャップがあれば、血と汗とそして、涙で埋めるしかありません。
Posted by 川ちゃん at 2017年08月19日 09:58
川ちゃんさん、

>奥様の「平均」レベルを認識・・・
こういう発想は今まで私に無かったですね。新しいアイデアだと思いました。しかも理にかなっていると思います。

ウチの妻は同級生と仕事仲間とご近所さんの3グループに属していまして、それぞれにとてもレベルが違います。一番平均点が高いグループは近所の茶道教室の仲間たちで、川ちゃんさんレベルまでは届かないまでもかなりハイソです。先日も駅でバスを待っていたら偶然その一人が車で通りかかり「乗っていきなさいよ」と乗せてもらった車はジャガーだったと言っていました。
これじゃあとても私は太刀打ちできないですね。だって私んとこの車は軽自動車でして・・・
今日もそれに4人乗せて颯爽と走っていたら後ろから白バイがサイレン鳴らしてきてあえなく18キロオーバーで捕まってしまいました。
まったくギャップも罰金も涙で埋めるしかありませんよ。トホ・・
Posted by 大庭夏男 at 2017年08月19日 13:29
妻は、親族、同級生、近所の3グループに属しています。同級生は前に記した様なかなりのハイソですが、親族も中々で開業医の妻の弟の娘二人、つまり姪は、二人ともT大医学部を出て医師をしています。その姉が来月結婚予定ですが、妻はレベルの違いで出席を渋っています。私はハナから出るつもりはありませんが。
私の兄の娘はK大医学部卒の医師でしたが、その結婚式がトラウマになっている様です。
自分が現役の頃はそんなことはあまり気にしなかったけど、リタイアして無冠になると、妻は気になる様ですね。
近所といえば、今年から、マンションの理事をしていますが、理事長はかつて裁判官で今は弁護士で倅と事務所をやっており、法律関連の本も数十冊書いており、副理事長は社員百人の設計事務所を経営しております。
近所と言えども、気が抜けないのです。
Posted by 川ちゃん at 2017年08月20日 20:35
川ちゃんさん、

なんというか因果なものですね。たぶんハイソと呼ばれる方々は現役時代の高収入によって早々に引退し易そうだけど引退後の冠の課題でなかなか引退しにくいとは。。
弁護士や設計事務所の経営者の方も本音はつじつまがつく方法で引退したいのではないでしょうか?
Posted by 大庭夏男 at 2017年08月21日 12:59
アリリタブログには様々な住人がいます。
独身者は気楽なものですが、仕事がとにかく嫌で、少ない貯金でのアリリタは日々の生活は節約!金が無くなればバイト。親が元気なうちは良いとしても、介護が必要となれば、大変だなぁと思いますが、親は他人として無視するんでしょうか?
若くしてソコソコ金を貯めた人は気儘なものです。見栄もはる必要なく、淡々と生活しておられますね。
子なし夫婦で夫婦仲が良ければ、金さえあれば、楽しいでしょう。羨ましい生活が透けて見えます。
問題は子ありのアリリタ族です。ここでは、大庭さん他少数派ですね。特に、意に反しての失業者は早い再就職を祈っております。
ただ、経済的に確立したつもりのアリリタも問題はあります。
子供は多くの場合、母親につきますから、
家庭内では孤独な戦い?となります。まだ働けるのに、戦線を離脱したおとーさんは、脱走兵の様に見られがちです。
それに耐えて自分の居場所を確保し、何とか家庭団欒に参加するには、相当な自己犠牲が要求されるため、結局は再就職する人も出てきますが、ろくな働き場所はなく、そこでも悲哀を噛み締めます。
進むも地獄、退くも火の海という状況に追い込まれ、人知れず、夜具を濡らすおとーさんもいるかも知れません。
Posted by 川ちゃん at 2017年08月21日 17:41
川ちゃんさん、

川ちゃんさんがコメントされたように、もしかしたら私のアリリタモデルは少数派なのかもですね。
最近そんな気がします。
妻が頻繁に「あなたは自分さえ良ければそれで良いと考える」と私の行いを批判しますが、ここら辺が問題なのか解決策なのかわからないけど少数派で何とかなっている理由がありそうです。

私は決して他人を害する自己中心な思想は無いと思っていますが妻がそういう背景には何かあるのかもしれないです。よく分かりませんが。
>戦線を離脱したおとーさんは、脱走兵・・・の考えも分かるような気はしますが、塞翁が馬のお話では、馬から落ちて怪我したおかげで兵員にならすに生き延びられてよかった!となっているように、偶然でも自分に好都合なことであれば私はそれを歓迎します。だからリストラでも私に好都合なように事を運べるのならそれは歓迎。親戚同士が中悪く一族郎党分断しましたが、それも私の節約生活には好都合なので歓迎、と私はそういうふうに考えます。
こういうところが妻の気に入らないところのようなのですが、きっと他の多くの人とは違うのでしょうね。
なので少数派になってしまうのです。
ただ、まあ地域やボラ仲間では確かに変わり者だとなっているようですが、迷惑人間ではないと評価されているようで、それで私は安心です。
Posted by 大庭夏男 at 2017年08月21日 18:24
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