2017年09月26日

足掛け70歳にして再就職した男のはなし

私が所有する東京の自宅近くに住む、ご近所さんの知人男性が、先ごろ70歳目前で再就職して給与所得者になりました。私自身はもう会社に就職して勤めるということは興味も関心も無いところなのですが、一般には終生勤め人でありたいとするムードがあるので、何かの参考になるかと思い彼の経緯を整理して、どこにそんな恰好で高齢者再就職のキッカケが落ちているのかを書くことにしました。

ご近所さんの知人男性の最近の仕事は行政書士でした。以前はたこ焼き屋をやっていたことも、1990年前後のバブル時代はナイトクラブの従業員を確保する仕事などをする総務部長職をやったことがあるとの話で、いわゆる一流企業のような会社には勤めたことが無いから「俺はカイシャってもんが分からない」とは言っていましたが商売や経理のテクニック、人集めなどの職人?という感じの方です。

足掛け70歳とはいえ想像する70歳男性のイメージよりは若く見え、59歳の私と一緒に駅前の居酒屋で飲んでいるとき、おそらく周囲の人は同年代だと思う事請け合いです。

そういう彼はこのところずっとある社会福祉法人の立ち上げ業務を行政書士の立場で請け負って面倒みていたのだそうです。
行政書士の仕事をやっているのだから、特に勤める必要はありません。報酬は得られるし本人と奥様は既に年金受給しているから生活に不自由はなく、本人も「また今日仕事入っちゃったんだよなぁ」などと言って私との一杯飲みに行けなくなったことを悔やんでいることもありました。行政書士は自営業だから仕事のある日もあれば無くて飲みに行ける日も多いのです。

そういう自由を愛す彼は、最近事もあろうに仕事先の社会福祉法人になろうかという団体の職員になってしまったらしいです。その経緯は、社会福祉法人になるためにはさまざまな職員を確保する必要があるのだそうですが、一番頭を痛めたのが経理と経営を管理する担当職の採用だったらしいです。経理担当として帳簿はできるけどそれだけではダメで経営に対して助言できるようでなければいけないのだそう。しかし今のご時世でそういうマルチな人材をまだ名も無いような団体で採用するのは難しく、しかもフルタイム勤務でありながら、そう多くの仕事量まではありません。せいぜい毎日2,3時間の仕事量があるかどうかでありながら、一方社会福祉法人に成りあがるためには常勤での職員が必要だということでした。

それで結局は団体の理事長から「あなたがやって欲しい」と言われることになり、いろいろ話し合った結果とにかくそうしないと社会福祉法人は立ち上がらないから引き受けたという経緯だそうです。

勤務は月曜から金曜まで毎日で週5日勤務。つまりフルタイムです。その代わり仕事がそう無いから午前11時から午後3時までで途中一時間休憩もアリの一日3時間勤務だとか。これで月に15万円ぐらいの給料を受け取ることで調整しているらしいです。

彼はこのようにしてまた勤め人になる決心をしたのですが、そのために行政書士の仕事を今後どうするのか?悩ましいらしいです。毎日3時で帰宅するからその後に副業としての士業をやるのか、あるいはもう勤めだけとするのか。

私はそれを聞いて、勤め人は毎日出勤しなければならないけどその代わりキチンと給料が受け取れるから安定していていいけど、あなたの場合は今まで仕事取ってきてナンボの世界、つまり狩人みたいな暮らし方をしていたから、そういう稼ぎ方と比べたら刺激が少なくて退屈するんじゃないかと言ってみました。
それに対して「まあ、なんとも言えねえなぁ」としか彼は言いませんでした。しかし彼の奥様はなんだか嬉しそうでした。「この歳になって再就職なんてねぇ!!」みたいに声が弾んでいたのが印象的でした。

彼が再就職を果たしたのは偶然もあったけど、経理と、たこ焼き屋やナイトクラブの人材集めなどの経営現場の経験が有ったから、それを買われたから雇われたのではないかと私は思います。定年退職後に複式簿記の資格を所得しましただけだったらきっとダメだったでしょう。

こんな話で酒飲みながら盛り上がって話をしている最中、私は厚生年金保険はどうするの?と彼に尋ねてみました。
彼は「詳しくしらねぇなぁ、きっと払うことになると思うよ。だけど今だってそういう年金もう受け取っているんだよなぁ。払ったらその間受け取れないってことになったら嫌だよなぁ。」と年金のことはよく知らない感じでしたが「ま、厚生年金は保険料が勤め先と折半だし、俺が死んだらウチのカミサンの受け取る遺族年金増えるから厚生年金保険料払っておきゃあ、いいんじゃねぇの!」とも言っていて、さすがにあまりお金には困っていないんだなぁという実態を彼は覗かせました。

ネットでササッとザックリ調べてみる限り、勤め人にカムバックする場合は70歳までは厚生年金に再加入しなければならず、その先希望すれば75歳だろうと80歳を越してでも厚生年金には加入できるように最近制度が変わったらしいです。
私は東京の自宅へ関西の自宅から3,4か月に一度行くので、そのタイミングでまた彼と酒を飲みながらその後の仕事の話を聞こうとおもいますが、きっと彼は勤め人と行政書士の仕事を二股かけてやるだろうと思います。なぜなら彼はいつも酒飲みながら「なんか面白れぇはなしないか!?」と、ニュービジネスの発掘について余念がないから、きっと立派に立ち上がった社会福祉法人の職員で毎日ピストン運動のように自宅と職場を行き来するだけでは退屈で嫌になってしまうだろうと思います。

だけどしかし奥様の喜びようは、いつもは真面目な顔立ちなのが満面の笑みを浮かべていたのが印象的で、勤め人というのはそれだけ価値があるもんだなぁ、と改めて思わされました。

まあとにかく、このような経緯で就職できたので、ふつうに会社に面接しに行って採用されて勤めるのとは入口が違うので「即戦力」というより「即要人」になれるのでしょう。めでたい話です。

テレビ番組を見ていると「俺、アイツとは知り合いで、たまたまアイツが『俺の会社手伝わないか』と言うから、それからすっとここで働くようになった」みたいにインタビューに答えている人が登場するのを見ることがありますが、きっとこのパターンは上述の行政書士の隣人知人と同じパターンの再就職の一種だと思います。

それで、こんなパターンの再就職は、なんだかその後楽しく仕事ができるような気がしました。


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posted by 大庭夏男 at 14:08| Comment(0) | 好きなこと探し | 更新情報をチェックする
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